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高尿酸血症、痛風

高尿酸血症・痛風とは

高尿酸血症・痛風とは高尿酸血症は、血液に含まれる尿酸の濃度が高くなった状態を指します。
尿酸値が高い状態が続くと関節に尿酸の塊ができて、強い痛みに見舞われるのが「痛風」です。「風が当たっただけで痛い」と言われる痛風の発作は数日間継続します。生活習慣病の1つである高尿酸血症や痛風は、体質に加えて生活習慣の乱れとも関係があります。
高尿酸血症の患者様の多くは男性で、発症する方はどんどん増加しています。女性が高尿酸血症を発症しにくいのは、女性ホルモンが尿酸を体外へ排出するのを促す働きをするためです。

高尿酸血症(痛風)の症状

高尿酸血症(痛風)の症状高尿酸血症は、症状が出ない場合がほとんどです。
ただ痛風になると、全身のあらゆる関節(肩、腰、肘、手、膝、足など)に強い痛みや腫れが現れます。発症してすぐの痛みは短時間で消失しますが、何度も痛みを繰り返すと、痛みを感じる時間が長くなっていきます。

高尿酸血症・痛風の原因

高尿酸血症・痛風の原因

高尿酸血症と痛風の原因には下記が挙げられます。

  • お酒(特にビール)の過剰摂取
  • プリン体(レバー、干物)の過剰摂取
  • 肥満
  • 尿酸を排泄しにくい、尿酸が多くなりやすいといった体質、または遺伝

尿酸とは、肝臓でプリン体が分解された時に生じた老廃物のことです。尿酸が多くなりすぎたり、うまく排泄されなかったりすると、血液の中に含まれる尿酸の量が増えるため高尿酸血症を発症します。高尿酸血症になる人の6~7割は、尿酸の排泄が上手くいかないことが原因とされています。

尿酸値はストレスで上がる?

尿酸値はストレスを過剰に感じると上昇しやすいとされています。ストレスを感じると交感神経が活発に働き、睡眠障害や自律神経失調症といった症状に繋がります。交感神経が活発になることで、全身の血のめぐりが悪くなり、腎臓へ送られる血液も少なくなります。その結果、尿酸が体外へ上手く排泄されなくなり、尿酸が体内に溜まっていくのです。

ストレスを溜めないために、質のいい睡眠をとることが有効です。毎日の睡眠が足りていないと、疲れが取れないだけではなく、生活習慣病である糖尿病や高血圧、さらに動脈硬化を発症するきっかけになる可能性があります。また、副交感神経を優位にしてリラックスするため、ぬるま湯に浸かることがお勧めです。
睡眠する約4時間前に食事を済ませ、寝る時点で胃の中が空っぽになるようにしましょう。

高尿酸血症が引き起こす合併症

痛風

高尿酸血症で最も起こりやすい合併症です。全身の関節(手、肘、肩、腰、足、膝など)に腫れや強い痛みが現れます。症状が長く続くと、関節が変形してしまう可能性があります。

尿路結石

腰背部やわき腹あたりに、我慢できないほど強い痛みが生じます。痛みで起き上がれない、痛みで倒れ込むくらいの激痛です。

慢性腎臓病

腎臓の働きが弱くなる病気です。初期段階では症状がない場合が多く、進行するにつれて夜尿症、貧血、むくみ、倦怠感、息切れといった症状が出てきます。これらの症状が生じたら、病気が進んでいる可能性があります。

腎不全

腎不全とは、腎臓の働きが通常の30%以下になる状態を指します。ずっと治療せずにいると、透析治療を要するまでに悪化するので注意が必要です。左右に2つある腎臓には、ネフロンと呼ばれる組織が約100万個存在しており、このネフロンによって尿は作られています。ネフロンの機能が60%以下になると「慢性腎臓病」と呼ばれます。10%未満になると「末期腎不全」となり、人工透析が必要になります。

その他

高尿酸血症を発症すると、動脈硬化になるリスクも高まるため、脳卒中や心筋梗塞、狭心症にかかる可能性があります。

高尿酸血症・痛風の検査

高尿酸血症は、血液検査と尿検査を行います。血液検査で尿酸値が7.0mg/dL以上あると高尿酸血症と診断されます。尿検査では、腎臓の状態を確認し、高尿酸血症が尿酸排泄低下型(尿酸の排泄が低下している)、尿酸産生過剰型(尿酸が過剰に作られている)、腎外排泄低下型(便による排泄の減少)混合型(全てに当てはまる)のどのタイプなのかを調べます。

痛風を疑うような強い痛みが
ある場合

血液検査などで高尿酸血症の発症を検査します。
ただし痛風が疑われる場合、痛みを感じている時や痛くなくなったすぐ後は、尿酸値を正確に把握できない場合があるため、後日に再度検査を実施します。
また、関節にできたコブや痛みがある関節の中の液体に尿酸の塊があるかどうか調べるため、関節液検査、痛風結節生検を実施することがあります。さらに、関節の変形の有無を調べる関節X線検査、尿酸の塊の蓄積や尿酸結石の有無を調べるエコー検査などを行うことがあります。

高尿酸血症・痛風の治療方法

高尿酸血症は、血液の中の尿酸を減少させて痛風予防を行いながら、治療していきます。

痛風による発作がある場合

痛み止めや炎症を抑える薬を服用して、痛みや腫れを緩和していきます。尿酸値の変動が起こることで痛みが強くなるため、尿酸のお薬の服用はすぐには始めませんが、痛風になる前から尿酸のお薬を服用している方は服用を継続してもらいます。
痛風を何度も経験すると、痛みが出る瞬間が分かるようになるため、痛みを予防する「コルヒチン」と呼ばれるお薬を処方することがあります。ただ、副作用として、下痢が伴う場合があるので注意が必要です。
痛風の痛みがなくなってから、高尿酸血症の治療を開始し尿酸値を計測します。

高尿酸血症の場合

生活習慣の改善

プリン体やお酒の過剰摂取に注意していただきます。肥満の方は、高尿酸血症を発症するリスクが高いので、暴飲暴食を控え、1日の食事を適切な量に調整しながら、体重を減らしていくことが大切です。特に野菜を多く摂り、高カロリーな食べ物はお控えください。
お茶やお水をよく飲むことで、体外へ尿酸の排出を促進したり、血液の中の尿酸の量を減らしたりする効果が期待できます。
また、有酸素運動(ウォーキングなど、息切れしない軽めの運動)も有効です。ただ、無酸素運動や激しいトレーニングは痛風が起こる原因にもなるので、痛風が起こりやすい方はご注意ください。

プリン体が含まれる食品の例

非常に多い食品 鶏レバー、あんこう肝酒蒸し、にぼし、干ししいたけ、鰹節など
多い食品 豚レバー、牛レバー、マイワシ、カツオ、さんま、マアジの干物など
少ない食品 ウナギ、ワカサギ、豚バラ、牛タン、マトン、ベーコン、ほうれん草、カリフラワーなど
非常に少ない食品 コンビーフ 魚肉ソーセージ、焼きちくわ、すじこ、ウインナー、チーズ、トウモロコシ、さつまいも、米飯、トマト、キャベツ、大根、わかめ、こんぶ、豆腐、牛乳など

薬物療法

薬物療法は、生活習慣の見直しだけでは効果が不十分な場合に行います。
主に、2種類のお薬を使い分けて治療します。

尿酸生成抑制薬

体内の尿酸が過剰に作られるのを抑制するお薬です。尿酸が尿として排泄されるのがうまくいっているのに、尿酸値が下がらないときに飲んでいただきます。

尿酸排泄促進薬

尿酸が尿として排泄されるのを促進するお薬です。腎結石・尿管結石になった経験がある方は服用に注意が必要です。尿をアルカリ性に維持するお薬を併用し、腎臓に石ができるのを防ぐ場合があります。珍しいケースですが肝障害を発症する場合もあるため、しっかり経過観察を行います。